みなさんこんにちは。
本日は、黒インコ(クロインコ)の生態についてまとめていきたいと思います。
国内のペットショップですら滅多にお目にかかれない、このインコ。
その生態は他のインコとはかなり異なり、黒インコならではの数々の多彩な特徴を見せてくれるんです。
今回は、黒インコ(クロインコ)についてのポイント、
以上8個の点についてお伝えします。
それでは、黒インコ(クロインコ)の写真(画像)を見ていきましょう!
目次
クロインコの画像(写真)!特徴や性格は?
写真左が繁殖期のクロインコのメス、右側がオスとなります。
クロインコの学名は「Coracopsis nigra」と言います。
ギリシャ語のkorax(カラス)とopsis(外見)を繋ぎ合わせ「Coracopsis」と命名されました。
和名は「薄墨(ウスズミ)インコ」とも呼ばれ、その名の通り身体全体が黒・薄い墨汁の様な色をしています。
このインコの最大の特徴は、オウム目の中で唯一「ヘミペニス」という生殖器を持つことです。
ヘミペニス、半陰茎とも呼ばれるこの器官は、爬虫類飼育経験者にとって馴染みが深いものではないでしょうか。
ヘビやトカゲの大半がこの器官を有し、哺乳類のそれとは違い左右に一対づつ有しており、普段は体内に収納されています。
クロインコは繁殖期になるとヘミペニスが膨れ上がり、つぼみのような形になります。
この中には精嚢があり、意中のメスとの交尾に用いるのです。
更にクロインコのメスも繁殖期にはかなり変わった形態をとります。
メス個体は生まれたての幼鳥や若鳥の頃は、他の鳥類同様に体全体に羽毛を持ちます。
ただ年を経て性成熟が進むと、何と頭の羽毛が全て抜け落ちてしまうんです。
皮膚もピンク色からくすみがかった黄色へと変化し、子孫を残す準備ができるということが一目瞭然になります。
また他のインコはヒナに吐き戻しの餌を与えるのが通常ですが、クロインコは胸部に薄い膜状のヒナ餌専用の器官が作り出されもします。
完全に繁殖可能なメスはまるで「ハゲタカ」の様な容姿になってしまうんですね。
この羽毛が抜ける現象には二つの説があります。
一つはクロインコのヒナ餌には、脂肪分が多くかなりベタつくことが挙げられます。
鳩の仲間などで周知される「ピジョンミルク」のようなものですね。
そのため給餌の際にヒナ餌が羽毛につかないよう、清潔な状態を保つために禿げてしまうとも言われています。
二つ目はオスへのアピールです。
「私はもう子供を産む準備ができているよ」と、羽毛の消失と皮膚の色でアピールしているということです。
更にクロインコのメスは、尾脂腺やホルモンの影響により、繁殖期になると換羽せず羽色を変化させます。
黒褐色の羽毛はほぼ茶褐色となり、劇的な変化をみせるのです。
この様にクロインコは繁殖にまつわる大きな特徴や形態の変化が見られる、かなりユニークなインコとして広く知られています。
クロインコの性格についてですが、一般的に他の大型インコ同様人に懐きやすく、基本はおっとりとした性格をしています。
しかしクロインコは、こと繁殖期になるとインコらしからぬ生態を見せます。
クロインコは一妻多夫制と珍しい形を取り、この時期のメスは凶暴度がかなり上がります。
複数のオスが代わる代わるメスとそのヒナに餌を運ぶのですが、メスの逆鱗に触れ殺されてしまうオスもいるほどなんです。
ですのでクロインコの人工繁殖には、入出口が1箇所の巣箱は使えません。
必ずオスの逃げ場のために、2箇所以上の出入り口が必須となります。
この様にその特徴だけを拾うと、かなり怖いインコという印象を受けますが、頭もよく非常に飼い主によく懐くんですよ。
インコの仲間でも大型インコに入り、鳴き声等も気を付けなくてはいけないので(※夜行性傾向もあります)寿命や大きな鳥篭など、クロインコにとって快適な環境を用意してあげて下さい。
それでは次に、クロインコの生息地(分布)はどこなのかをお伝えします!
クロインコの生息地(分布)はどこなの?どの季節で見ることができる?
クロインコの生息地はかの有名な「マダガスカル諸島」です。
正式にはマダガスカル共和国の各諸島と呼んだ方が正しいかもしれません。
マダガスカル諸島以外には限定的に「セーシェルのプララン島」「コモロ諸島(グランドコモロ島・アンジュアン島)」の3島のみが生息地です。
マダガスカル共和国・通称マダガスカル諸島は、南米エクアドルのガラパゴス諸島やオーストラリア・ニュージーランド等のオセアニア地方と同じく、独自の進化を遂げた動物たちの宝庫です。
クロインコはこの地域でライフサイクルを行う留鳥であり、一年を通しみることが可能です。
次に、クロインコの寿命はどれぐらいについてお伝えします。
クロインコの寿命はどれぐらい?繁殖期はいつなの?
クロインコの平均寿命はおおよそ20~30年と言われています。
一般的な飼育例が少なく情報量も少ないインコですが、大切に飼育している飼育者の方の元では概ね20年以上生存しているようですね。
野性下個体についてはあまりに情報量が乏しいのですが、大型インコということを加味すると飼育下平均寿命を僅かに下回る程度と考えることができます。
クロインコの繁殖期は情報によりまちまちですが、10~12月の間、若しくは年に2~3回という話もあります。
次に、クロインコの雛(幼鳥)の特徴についてお伝えします。
クロインコの雛(幼鳥)の特徴は?最大でどれくらいの体長に成長するの?
画像がクロインコのヒナです。
クロインコのヒナはクチバシの両端に1つづつ「コブ」を持ちます。
これは親鳥が餌を与える際の目印と言われています。
クロインコはその代謝、つまり成長スピードの速さが最も顕著なインコです。
ヒナの成長は早いのですが、変わったことに他のインコのヒナ特有の「綿毛」が生えることはありません。
約1ヶ月弱をかけ尾羽から順に、直接ピンク色の地肌から羽が発達します。
面白いことに頭部の羽は一番最後であり、こちらもクロインコの繁殖期ハゲになにかしらの繋がりがあるのかもしれません。
クロインコの代謝の早さはヒナの時も顕著で、ヨウムなど他の大型インコの約半分の期間で完全に羽が生え揃い、完全な幼鳥となるのです。
クロインコはかなり大型のインコであり、最終的には全長50cmにまで達します。
それでは、クロインコの鳴き声(さえずり)の特徴についてお伝えします!
クロインコの鳴き声(さえずり)の特徴は?
クロインコの鳴き声(さえずり)は他のインコと一線を画しています。
通常インコと言えば、近所迷惑も加味しなければならないほど「甲高い鳴き声」を想像しますよね。
ところがクロインコはまるで「小動物の鳴き声」他に例えれば「猫」の様な非常に柔和な鳴き声を発します。
「チュー・チュー・チュー」「キャン・キャン・キャン」といったように、柔かい鳴き声を発するのです。
鳴き声一つ取り上げても、他のインコとかなりの差異が見られるんですね。
それでは、クロインコは何を餌にしているのかをお伝えします。
クロインコは何を餌にしているの?
クロインコは野生下では「木々の種子」「果実」「果物」、更には地元住民が栽培した「トウモロコシ」「アワ」「ヒエ」「キビ」そして「米」などを食べています。
その体色に関係があるのでしょうか?
現地では夜行性の一面もあり、夜間に人里に出没し農作物などを群れで荒らしてしまう事もあるようです。
またインコの仲間には珍しく「他の鳥のフン」や「小動物」を襲うなどの肉食傾向も見られます。
状態の良いクロインコはかなりの悪食で、餌の絶対量がかなり大きくなります。
ドッグフードなどを併用し、うまくコストと栄養バランスを両立している飼育者もいるので、ぜひ参考にしてみてください。
次は、クロインコの性別雌雄(メスオス)の見分け方についてお伝えします。
クロインコの性別雌雄(メスオス)の見分け方は?
前述の通りクロインコは雌雄の差が非常にわかりやすいインコです。
ただ幼鳥・若鳥の内はあまり見分けがつきません。
充分育ったクロインコのメスは前述の通り、頭頂部の羽毛がほぼ全て抜け落ちてしまいます。
また喉元にもヒナ用の給餌嚢が発達し、その部分の羽が脱毛する上に、抜け落ちた頭部は著しく黄色化するのです。
他には実際にヒナを育てる際になると、急激に狂暴化し、多夫一妻制で子育てをすることも有名です。
オスのクロインコの最大の特徴は何と言っても「ヘミペニス」でしょう。
爬虫類から鳥類に進化する際の名残…つまりミッシングリンク的なもので、カモの仲間もこの器官を有します。
この「ヘミペニス」は発育段階では未発達で、とても交尾に使えるような代物ではありませんが、いざ充分に成熟するとかなりの長さになることが知られています。
前述の通り子孫を残す段階では大きなつぼみ状の精嚢を有し、まるで哺乳類のような交尾を行います。
最後に、クロインコの値段をお伝えします!
クロインコの値段や販売価格はいくらぐらいなの?
クロインコの値段についてですが、一昔前は数万円ほどでしたが近年は数十万円はかかると見て下さい。
取り扱っているショップ自体を探すことすら困難であり、世界的に見てもほぼ流通していないからです。
その様な理由から「時価」、その時の流通具合によりかなりの価格の変動が見られます。
まず一般的な鳥獣店で取り扱っていることはなく、かなりニッチな大型インコ専門店に個別に依頼をする必要も生じます。
忘れてはならないのがPBFD(オウム類嘴羽病)という、輸入インコ・オウム類が抱えやすい疾患です。
完全な致死性の病気ではありませんが、余程丈夫な個体でない限りほぼ衰弱死してしまうのです。
高価かつレアなインコということもあり、必ず陽性検査をクリアした個体の入手が求められます。
また夜行性傾向の強さや、運動を欲する性格上、初期投資もかなりの高額になるでしょう。
一番最良の方法は全国でも数少ない「大型インコ専門店」にて個別に予約をし辛抱強く待つことです。
かなり流通量がすくないので、運よく迎え入れられた方は大事に飼ってあげてください。
それでは、今回お伝えしたことをまとめていきましょう!
黒インコ(クロインコ)のまとめ!
いかがでしたでしょうか?今回お伝えした重要なポイントは8個ありました。
覚えているでしょうか?1個ずつ振り返っていきましょう!
①クロインコの画像(写真)!特徴や性格は?
クロインコのメスは頭頂部・胸部の羽毛の脱落、オスはヘミペニスを有する大きな特徴があります。
メス個体の頭頂部や羽毛の変化も特筆すべきでしょう。
性格はかなり温和で懐きやすいインコです。
②クロインコの生息地(分布)はどこなの?どの季節で見ることができる?
マダガスカル諸島に留鳥として生息します。
③クロインコの寿命はどれぐらい?繁殖期はいつなの?
20~30年ほどの寿命を持ち、年2~3回や10~12月に繁殖するという説が有力です。
④クロインコの雛(幼鳥)の特徴は?最大でどれくらいの体長に成長するの?
ヒナはクチバシ先端に1つずつ突起があり、綿毛は一切生えていません。
最大全長は約50cm程となります。
⑤クロインコの鳴き声(さえずり)の特徴は?
小動物の様な変わった鳴き声を持ちます。
⑥クロインコは何を餌にしているの?
主に植物食ですが、かなり悪食で小動物を襲い食べることもあります。
⑦クロインコの性別雌雄(メスオス)の見分け方は?
幼鳥・若鳥の際の区別は難しいのですが、成長になるとオスのヘミペニス、メスの頭頂部・喉元の羽の脱落で容易に判別できます。
⑧クロインコの値段や販売価格はいくらぐらいなの?
世界的規模で稀少流通種であり、その時々によりほぼ時価に近いのですが数十万円は確実にかかります。
それでは今回はこれで失礼します。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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